立入禁止の屋上に巨大空調設備が!「都産技研本部バックヤードツアー」前編
都産技研では、中小企業の皆さまに安全にご利用いただくために、施設内にさまざまな安全対策を施しています。また、屋上緑化や地域熱供給など、地域と連携した省エネの取り組みも進めています。
では実際のところ、どんなことをしているのでしょうか? そこで今回は、屋上や地下など都産技研の裏側に潜入。普段は職員も入れない「バックヤード」を、余すところなくご覧ください!
研究室のために設けられた「空調設備」とは
まずは改めて、都産技研本部の建物をご覧いただきましょう。こちらです。
地上5階建ての建屋には、各分野の研究室や試験設備、イベントホールなど、さまざま設備があります。そのすべての空調を司る装置が、屋上にあるのです。
というわけで、バックヤードツアーは屋上からスタートしました。
屋上では、たくさんの巨大な設備がゴウゴウと音を立てて稼働しています。そのひとつが「研究室向けの空調設備」なのだとか。
鈴木「試験や実験によっては、公正なデータを取得するために、一定の環境下で行わねばならないものがあります。たとえば『室温20℃以下、湿度50%±5%』といった感じですね。各研究室の希望条件に合わせて、一定の範囲内に温湿度を保つようにしています」
実験室では、有害な化学物質が発生することもあります。もちろん、窓を開けてそのまま大気中に放出する、みたいなわけにはいきません。
そうした化学物質を「無害化」するのが、この巨大な煙突みたいなものがついた装置です。
鈴木「これは有機系化合物のスクラバーです。活性炭のカートリッジを通すことで、有機系の化学物質を無害化します。無機系化合物のスクラバーは別にあり、そちらは水で洗い流すような形で無害化をしています」
脱炭素社会に貢献する「地域熱供給」と「屋上緑化」
ここまで見てきたのは、研究室向けの空調設備。廊下などの共有部を対象にした「全館向けの空調設備」は、また別にあるんです。
鈴木「全館の冷暖房は、臨海副都心エリアの地域熱供給を用いています。実は臨海副都心エリアの共同溝には、80℃の温水と7℃の冷水が循環しているんです。その温冷水から熱交換器を介して、都産技研内で温水と冷水を作り、これを循環させることで冷暖房を行っています。言わば、共同溝の温冷水から熱だけをもらったり、反対に熱を渡したりしているわけですね」
なるほど……。でも、そんな面倒くさいことをせずに、共同溝から温水と冷水を直接引き込んでしまえばいいんじゃないですか?
鈴木「いえいえ! そんなことをして、もし都産技研でパイプが破裂なんかしたら、臨海副都心エリアすべての熱供給が止まってしまいます」
確かに。めちゃくちゃ怒られるでしょうね……。
鈴木「なので、熱だけをやりとりする仕組みになっているんです。臨海副都心エリア内で熱源を一カ所に集約することで、各ビルでボイラー等を設ける必要がなくなりますし、省エネや脱炭素にもつながるんですよ」
そして屋上にはもうひとつ、脱炭素の取り組みがあります。「屋上緑化」です。
鈴木「屋上だけで400平米ほどを緑化しています。水やりには、東京都下水道局から供給されている再生水を用いており、タイマーで自動的に散布されるようになっています」
ちなみに、今後は屋上に太陽光パネルを置く計画もあるのだそう。省エネ・脱炭素に向けた都産技研の取り組みはまだまだ続きます。
「空中散歩」で巨大ロゴを見に行く
屋上をあとにして、5階まで降ります。次の目的地へ向かう途中の廊下には、安全を呼びかけるポスターが貼ってありました。これも環境安全管理室のお仕事なのだとか。
櫻庭「過去のヒヤリハット事例をもとにポスターを作成しています。都産技研の設備は外部の利用者の方々も使用されるので、注意喚起になればと」
さて、鈴木さんと倉田さんが先導するままについていくと、また外に出るみたいですが……?
急に高いところに出ました。それもそのはず、私たちは都産技研の外壁に設置された、巨大ロゴのそばにいるのです……!
鈴木「現在は節電のため消灯していますが、以前は夜になるとロゴを光らせていました。目の前を走るゆりかもめの車中からよく見えたんですよ」
そう聞いて振り返ると、眼下にはゆりかもめのレールが。遠くには東京ビッグサイトをはじめ、有明の景色がよく見えます。
外壁に設置されているこの木材はなんですか?
鈴木「木製のルーバーですね。風を取り込みながら、直射日光を避けたりする効果があります。使っているのは多摩の間伐材です。東京都の施設として、多摩産材を有効活用するという意味もあるんですよ」
このまま進むと研究室の窓に差し掛かり、中の人をビックリさせてしまうので速やかに中に戻りましょう。
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バックヤードツアーはまだまだ後編に続きます! 捨てられたゴミの行方、地下の巨大空間について引き続きご紹介します。
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