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都産技研支所バスツアーを開催! ~若手職員支所見学会~

都産技研はお台場にある本部のほかに、都内に5つの支所・拠点を有しています。それぞれの支所には食品や繊維などの得意分野があり、地域産業に密着した支援を行っているのです。

今回は都産技研が若手職員向けに企画した「支所見学会」に同行。都産技研の支所・拠点を1日で巡るバスツアーです。noteをご覧の皆さんも、一緒にツアーをお楽しみください!
※城東支所は改修工事で休館中のため、今回のツアーに含まれていません。



9:30 食品技術センター

朝9時半、ツアー参加者15名が集合したのは秋葉原にある「食品技術センター」。その名の通り、食品に関する技術支援や研究を行っています。

食品技術センターはビルの6階から8階にあります。

6階の試験室や実験室には、水分活性測定器、分光光度計、B型粘度計、色差計……など、さまざまな計測機器が。どれもこれも、食品の物性値や成分値を測定するためのものだそう。

食品の色を数値化する「色差計」の説明をしています。

とはいえ、ひとつの計測機器だけを使うのではありません。「電子はかりで重さを計り、食材乾燥機で乾燥後、粉砕機で粉砕して、色差計で色差を測る」というように、複数の装置を組み合わせて使われる利用者が多いそうで、食品技術センターの機器利用の特徴なのだとか。

こちらは6階の加工実験室です。

加工実験室にはフリーズドライ製品を作る凍結乾燥機や、レトルト食品を作るレトルト殺菌機など、食品加工に関する機器が揃っていました。

研究用の機器として、

缶詰を作る巻締機や……
燻製機もあります。
大小さまざまなボウルや、漬物用の樽など、食品に合わせて容器もたくさん用意されていました。

他にも練り製品や麺類、日本酒など扱う食品は多種多様。微生物の試験にも対応しています。それだけ設備が充実しているわけですね。

食品技術センターは、過去に都産技研noteで取り上げたことがあります。興味のある方は、こちらの記事もぜひ読んでみてください!


10:40 墨田支所

それではバスに乗りこんで次の目的地へ。秋葉原から約10分、両国にほど近い墨田支所にやってきました。本日お世話になっているバスがこちらです。

本日お世話になっているバスがこちらです。

墨田支所が取り組んでいるのは、「人間にとっての使いやすさ」や「快適・安全・健康」に配慮したものづくり。分野は、「感覚を数値化する」「ヒトをはかる」「モノをはかる」の大きく3つに分かれます。

たとえば「感覚を数値化する」のひとつがこちら。

足の模型に靴下をはかせていますが……?

これは「衣服圧測定装置」といって、靴下やストッキング着用時の締め付け力を測定するもの。「なんとなくキツいな」といった感覚を、ビシッと数字で出してしまうわけですね。

こちらは「におい」を数値化する「におい分析システム」。異臭分析も行うので、試験では「実際に大変なものを嗅ぐこともある」そう。お疲れさまです……。

また「ヒトをはかる」では、ヒトの動きや圧力、寸法などをデジタル化。その設備のひとつが「生活動作計測スタジオ」です。

こちらが「生活動作計測スタジオ」。部屋のあちこちに「光学式モーションキャプチャシステム」のカメラが付いており……。
マーカーがついた傘を振ると、システムがリアルタイムに動きを読み取り、モニタの中のグラフィックを同じように動かします。あとで写真を見たら傘をぶんぶん振っていました。

3つめの「モノをはかる」では、モノの強度や耐久性など、安全や安心に関連する性能評価を行っています。

「日射環境試験装置」。太陽光に近い光を当て、屋外に長時間さらされたときの劣化を確かめます。大変まぶしいので特別にチラッと見せてもらいました。
「サーマルマネキン」。17部位の温度を計測し、衣服の保湿性を評価します。奥のマネキンの表情がリアルです。

こうした装置によって収集されたデータは、アパレルやインテリア、スポーツ用品、福祉、エンターテインメントなど、幅広い生活関連製品の研究開発に役立てられています。


13:20 城南支所

墨田支所でランチタイムをとり、ツアーは午後の部に移ります。墨田区からバス移動すること約45分。大田区の蒲田にある城南支所にやってきました。

城南支所は城南地域中小企業振興センター内にあります。東京都中小企業振興公社 城南支社や大田区産業プラザ(PiO)も同居しています。

城南支所が得意とするのは、三次元の試作加工や精密測定。町工場が多い大田区で、精密加工によるものづくりを中心に技術支援をしています。

城南支所内の「先端計測加工ラボ第一室」。三次元測定装置や三次元デジタイザ、ロックウェル硬さ試験機などの装置が並んでいます。
ラボを抜けると「超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡」という、名前からしてスゴそうな装置が。

この電子顕微鏡は、20倍~200万倍まで観察が可能なもの。電子部品や炭素繊維、ナノ材料などの表面形状を超高倍率で観察できます。200万倍の画像にしっかりピントを合わせるには、高度な技術が必要なのだとか。

その高度な技術を使ったクイズも置いてありました。
1000倍に拡大した綿棒を3Dメガネで堪能できるコーナーも。

試作加工に用いる造形装置を有しているのも、城南支所の特徴のひとつ。なかでも光造形装置で製作した「透明なバイオリン」は、YouTubeでも話題になりました。6分を過ぎたあたりで始まる、職員による試演奏にもご注目を。

加工前後の部品を手に取って見せてもらえました。透明に加工したもの(右)がピカピカです。


16:00 多摩テクノプラザ

城南支所を出発したバスは、最後の目的地・多摩テクノプラザへ。西へ向かうこと1時間半、昭島市までやってきました。

現地解散なのでバスとはここでお別れです。

多摩テクノプラザは、電子機器や複合素材の技術支援を得意としています。都産技研noteでも何度かお邪魔しましたね。

拠点内にある「複合素材開発サイト」は、高機能繊維材料や繊維強化複合材料(CFRP)の研究・開発のための施設。最先端の複合材料を成型する装置から、糸を撚りあわせる巨大な「撚糸機」まで、繊維に関連する装置が揃っています。

天井まで届く大きさの織機に驚く一同。
CFRPを成形試作する様子を見せてもらいました。CFRPの材料となるシートを積層し、「高温プレス成形機」、「オートクレーブ成形機」それぞれで成形すると……。
「TAMA」の文字が入ったトレイができました。CFRPは軽くて丈夫で錆びないという利点から、さまざまな産業に採用されています。

そしてこの日、参加者のリアクションが一番大きかった施設が、電磁波関連の試験を行う「EMCサイト」でした。

こちらがEMCサイトの10m法電波暗室です。広い……!

電子機器のEMC(電磁両立性)を調べる施設であり、他の機器に影響を及ぼす電磁ノイズを放出しないか、また、外からの電磁ノイズで誤作動しないかを確かめるところだそう。

壁には約2,000個の電磁波吸収体があり、外部からの電磁波もシャットアウト。もちろんスマホはつながりません。

「圏外になっている」

EMCサイトについてはこちらの記事もどうぞ。


* * * * *


こうして、丸1日をかけたバスツアーは終了。

若手職員たちは、所属部署とは異なるさまざまな技術に興味津々、同期との会話も弾んだようでした。

若手職員が仲間に加わり、さらにパワーアップした都産技研。各自の得意分野を活かした活躍が期待されます。

ツアー参加者の皆さん、お疲れさまでした!


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